きりえってどんな絵?
紙を切って作る絵画技法に「きりえ」という名称がついてから半世紀が過ぎました。
初めのうちは「きりえ」というと「あぁ、ハサミで切る寄席の…」問う言葉が返ってきましたが、今では「あぁ、きりえね」と、すぐにわかっていただけるほど社会的に定着しました。「きりえ」は紙などを切って造形する創作のための技法であり絵画です。
しかし「きりえ」にあまり接していない人や、その技法内容などについて、次のような質問がなされます。
Q:きりえってつながっていなくてもいいの?
A: きりえは全部つながっていなくてもよいのです。切り離すことによって、窮屈さから解放されます。
切り口を生かした造形技法を絵画に取り入れて、新感覚の創作を目指しています。
技法範囲を狭くすると、作品向上の妨げになると考え、ゆるやかにしています。
Q:きりえって「貼り絵」「ちぎり絵」と、どうちがうの?
A: 紙をちぎって貼る平面作品には、他に「貼り絵」や「ちぎり絵」などがあります。
「ばらばらに切り離されたものが貼り絵では?」という見方もありますが、貼り絵のように貼り重ねの効果に重点を置いた技法ではなく画面上に配置されたそれぞれの切り口が互いに呼応しあって醸し出す美こそきりえ独特の美と解釈できるのです。
また「ちぎったものはちぎり絵では?」という疑問もありますが、ちぎったものが切った線を殺してしまわないよう部分的に使われているものは十分と「きりえ」として成り立っているといえます。
いかにして、切った線の美を表現できるかが「きりえ」の命であるということです。
Q:きりえって白黒でなくてもいいの?
色をつかってもいいの?
A:白と黒だけでなく、他の色をつかっても構いません。
つなぐ線を有効に使って独特の味を出す努力や、白と黒だけで表現しうる究極の美の追求を否定するわけではありません。
その姿勢を高く評価したうえで技法の広がりによる表現内容の充実を期待して、小さい枠を作ることを避けようとしているのです。
Q:日本きりえ協会はどうして「切り絵」ではなく「きりえ」なの?
A: 日本きりえ協会が、表記に「きりえ」ではなく『きりえ』を選んだのは、切り絵という文字面から受ける伝承を伴う細工物のイメージを払拭し、創作するという強い姿勢できりえに対峙する人たちの集まりであることを表明するためです。